「全力を尽くしたから、悔いはないよ」松田塾長の心に効いた情熱メッセージ①

豊富な人生経験の中から、たくさんの名言やメッセージを生徒たちへ伝えてきた松田塾長。松田塾長自身は、一体どんなメッセージに影響を受けてきたのでしょうか。今回は、松田塾長の心を揺さぶった2つのエピソードをご紹介します。

50年間続く後悔。「あの日私は逃げたんじゃないか」

Inside the lock room of a security office
 
先日ジムのロッカーで、70代くらいのご老人に声をかけられた。2月に日経新聞に掲載された私の記事を見て、私の教育法にとても関心を持ってくださったらしい。実に細かなことまで、色々なことを真剣に質問してきてくれた。
どうやらその方は、50年程前に早稲田大学に落ち、立教大学へ進まれたらしい。その時に浪人しなかったことを、今でも悔やみ続けていると言う。「あの時、もっと挑戦ができたはずなのに、自分は逃げたんじゃないか」と。
その姿に、私は胸を打たれた。様相からして成功された方のように見えたが、長い人生のたった一度の選択に、50年間も悩まれてきたなんて。ひたむきさに感服し、悔いのないように全力を尽くす事がいかに大事なのかということを、深く考えさせられた出会いだった。

28歳で千葉大学に再チャレンジ。「もう悔いはない」

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思えば、35歳で医師になった友人もそうだった。医師である両親の元で何不自由なく育ち、若い頃は遊んでばかり。医学部を目指したものの、結局4浪。1年間イタリア旅行へ行ってしまった。
もう医学部は目指さないのか。誰もがそう思うだろう。ところが、帰国した彼は違っていた。「やっぱり医者になる」と突然宣言したのだ。25歳の時だ。私が志望校別対策をアドバイスしようとしたら、「どの大学で、何の問題が来ても解けるように勉強するから大丈夫」と断られた。その言葉に本気を感じた。結局、彼は1浪した後、東京医大に合格した。
驚いたのは、2年後の春。東京医大に通っていたはずの彼が、「4月から杏林大学の2年生になる」と言い出したことだった。実は、彼が一番行きたかったのは、国立の千葉大学だった。でも、試験の時は極度の緊張で、全然問題が解けなかったらしい。東京医大で2年間学びながらも「あの時の試験は、本当に自分の実力だったのか?」とずっと心残りだったという。彼は皆に黙って、もう一度千葉大学を受験していたのだ。
結果は不合格だったが、リベンジを果たした彼は、「全力を尽くしたから、悔いはないよ」と笑った。私は泣きそうになった。尊敬した。ただでさえ人と比べたら出遅れているのに、彼は再び挑戦した。彼のような人が、本当にいい医者になると思った。医師免許をとったのは35歳と一般的には遅いのかもしれない。しかし、同じ年齢の医師と比較して、何一つ遅れはとっていないと私は思うのだ。

学問に年齢は関係ない。悔いを残さないよう全力をかけよう。

学問と言うのは、年齢関係なく続けていくべきもの。どの大学を受けるにしても、合格しても、落ちてしまっても、そこで終わりじゃない。未来で後悔をしないよう、自分が納得できるまでの努力をして全力を尽くして欲しい。今回の2つのエピソードが、みんなの心の糧になることを願っている。