高橋先生、東大の理科一類を受けようと思っているんですが、数学と物理・化学に時間を取られて、英語がどうしても後回しになっています。東大の理系って、英語は合否にどれくらい効くんですか?
松田塾長結論から言いますね。理科各類の二次試験では、英語は120点、二次全体440点の約27%です。数学も理科も同じ120点なので、配点の上では3教科が横並びで、国語だけが80点。共通テストの英語分(22点)を足すと英語は合計142点で、550点満点の約26%になります。2026年度の合格最低点は、理科一類が303.39点、理科二類が305.00点、理科三類が346.09点でした。

高橋えっ、数学や理科と同じ配点なんですか! 英語は「足を引っ張らなければいい科目」くらいに思っていました……。
松田塾長そう思っている理系の受験生は多いんですよ。でも配点表を見れば分かるとおり、東大は英語を数学・理科と同格に扱っています。しかも形式が「要約」「自由英作文」「正誤判定」「30分程度のリスニング」と独特で、他大学の対策だけでは足りません。ここから、配点、大問構成、大問ごとの解き方、合格ラインからの逆算まで順に見ていきましょう。

入試の全体像・配点構成

松田塾長まず全体像です。この記事で扱う「教養学部(理系)」は、理科一類・理科二類・理科三類の3つの科類のことです。東大は入学時に学部ではなく科類で募集して、前期課程の2年間は教養学部に所属し、その後に各学部へ進みます。進学先は入学後の志望と成績をもとに決まる仕組みです。

高橋共通テストも受けるんですよね? 二次試験との比率はどうなっていますか?
松田塾長共通テストは1000点満点を110点に換算して使い、そこに第2次学力試験の440点を足した550点満点で判定します。理科各類の共通テストは、国語200点・地歴公民100点・数学200点・理科200点・外国語200点・情報100点の6教科8科目です。表にまとめますね。

| 区分 |
配点 |
内容 |
| 共通テスト(換算後) |
110点 |
1000点満点を110点に換算。国語200・地歴公民100・数学200・理科200・外国語200・情報100 |
| 第2次学力試験 |
440点 |
国語80・数学120・理科120・外国語120 |
| 総合点 |
550点 |
合否判定に使う満点 |
高橋共通テストが110点分って、思ったより小さいですね。二次試験の日程はどうなっているんですか?
松田塾長2026年度入試の理科各類は、2月25日(水)に国語(9時30分から11時10分・100分)と数学(14時から16時30分・150分)、2月26日(木)に理科(9時30分から12時・150分)と外国語(14時から16時・120分)でした。つまり英語は2日目の午後、最後の科目です。前日の数学と当日午前の理科で頭をたっぷり使ったあとに、120分の英語が待っているわけです。試験場は理科各類が本郷キャンパスです。

高橋うわあ、最後にリスニングまで含めた120分ですか! 体力勝負になりそうですね(笑)。
松田塾長本当にそうなんです。理科三類だけは、2月27日(金)に個人面接もあります。2027年度入試は2月25日(木)・26日(金)・27日(土・理科三類のみ)の実施と公表されていて、出願期間は2027年1月25日から2月3日まで、合格者発表は3月10日の12時ごろの予定です。

2027年度入試の最終確認は11月中旬の募集要項で
この記事の配点・試験時間・出題形式は、東京大学の2026年度入試(令和8年度募集要項)で確認できた内容が中心です。2027年度の募集要項は11月中旬に公表される予定なので、科目ごとの日程や配点に変更がないかを自分の目で確認してください。
高橋募集人員や倍率も気になります。理科一類・二類・三類でどれくらい違うんですか?
松田塾長2027年度入試の募集人員は、理科一類1,071人、理科二類514人、理科三類92人と公式ページに載っています。2026年度の1,108人、532人、97人からそれぞれ減っています。また、志願者が募集人員の約2.3倍(理科一類)、約3.0倍(理科二類)、約2.8倍(理科三類)に達すると、共通テストの成績で先に絞る第1段階選抜が行われます。じゃあ次は、この550点のうち英語がどれだけの重みなのかを見ていきましょう。

英語配点・比率の詳細
松田塾長二次試験の科目別の重みを、比率つきで表にしました。

| 科目(第2次学力試験) |
配点 |
二次440点に占める比率 |
試験時間(2026年度) |
| 国語 |
80点 |
約18.2% |
100分 |
| 数学 |
120点 |
約27.3% |
150分 |
| 理科(2科目) |
120点 |
約27.3% |
150分 |
| 外国語(英語) |
120点 |
約27.3% |
120分 |
| 合計 |
440点 |
100% |
– |
高橋理科は2科目で120点だから、1科目あたり60点くらいってことですか? そう考えると、英語1科目の120点ってかなり大きいですね。
松田塾長鋭いです! 募集要項には理科の内訳までは書かれていませんが、2科目をまとめて120点なので、英語は「1教科」として見ると理科の科目よりずっと重いといえます。共通テストの外国語は、リーディング100点とリスニング100点の計200点を、リーディング140点・リスニング60点に換算して使います。550点の中に110点分として組み込むと、共通テストの英語分は22点です。二次の120点と合わせて英語は142点、全体の約25.8%になります。

高橋共通テストの英語は22点しか効かないのに、二次の英語は120点もあるんですね。
松田塾長数字を戦略に変えるとこうなります。共通テストの英語を1割落としても2.2点。でも二次の英語を1割落とすと12点です。理科一類の合格最低点は、2023〜2026年度の4年間で303.39点から326.24点まで動いていて、幅は約22.9点。二次の英語1割の12点は、その年度ごとの振れ幅の約半分にあたる大きさなんです。

大問ごとの配点は募集要項に載っていません
募集要項で確認できるのは、外国語120点という科目ごとの配点までです。「要約は何点」「自由英作文は何点」という大問別の配点は載っていません。ネット上にある大問別の配点は予備校などの推定なので、この記事でも大問別の点数は断定せず、東京大学が公表している出題の意図をもとに解説します。
高橋大問別の配点が分からないと、どこを優先すればいいのか迷いますね……。
松田塾長気持ちは分かります。だからこそ、次に見る大問構成と、それぞれの大問で何を問われるのかを押さえることが対策の土台になります。

大問構成・出題形式

松田塾長英語は試験時間120分、大問5題の構成です。記述式とマーク式が併用されていて、英語試験の一部分に聞き取り試験が入ります。聞き取りの時間は30分程度と公表されています。なお、外国語の試験時間と配点は文科各類も理科各類も同じで、河合塾の分析も文理を分けずに1本で公表されているため、以下の大問の内容は文系と共通です。

高橋30分もリスニングがあるんですか! 120分の4分の1ですよね?
松田塾長そうなんです。残りの約90分で、要約、英作文2題、長文読解、正誤判定、和訳をこなします。2026年度の各大問を表にしました。語数は河合塾が公表している分析にもとづく数字です。

| 大問 |
形式 |
2026年度の分量・内容 |
解答形式 |
| 1(A) |
要約 |
356語の英文を70〜80字の日本語で要約 |
記述 |
| 1(B) |
読解総合 |
871語。文補充5箇所(ダミー選択肢2つ)と語句整序 |
記号・記述 |
| 2(A) |
意見論述 |
What does it mean to be strong? に60〜80語で答える |
記述 |
| 2(B) |
和文英訳 |
100字の日本語部分を英訳、空所補充2箇所(選択肢6つ) |
記述・記号 |
| 3 |
リスニング |
(A)(B)(C)各5問。528語・513語・538語 |
記号 |
| 4(A) |
正誤判定 |
659語(2025年度は462語)。5問 |
記号 |
| 4(B) |
下線部和訳 |
335語、下線部3つ |
記述 |
| 5 |
読解総合 |
1,003語の短編小説。説明2問と和訳1問 |
記述・記号 |
高橋リスニング以外の英文を全部足すと、どれくらいの量になるんですか?
松田塾長1(A)、1(B)、4(A)、4(B)、5の語数を足すと3,224語です。ここに2(B)の英文と、自分で書く英作文2題が加わります。英文を約3,200語読んで、その上で要約・英作文・和訳を書くのが東大英語の実際の重さです。しかも2026年度は、英文の量が2025年度より大幅に増えたと分析されています。特に4(A)は462語から659語へ、200語近く増えました。

高橋理系の数学みたいに「書いて答えを出す」試験ですね。じゃあ、つまずきやすいのはどこですか?
つまずきポイントと東大英語の特徴
松田塾長東大英語は、単語や文法が標準的でも点が崩れやすい試験です。理由は「形式が特殊」だから。東京大学が公表している出題の意図を見ると、要約では「重要概念を把握し、論理的な要約を日本語で作成する力」、作文では「意見が読み手に明確に伝わるよう、適切な語句や表現を用いて、論理的で説得力のある文章を作成する力」が試されるとあります。

高橋英語なのに、日本語で書く力も問われるんですね。
松田塾長そこが東大らしいところです。英語が分かるだけでなく、日本語でも英語でも「整理して書く力」が点になります。記述式は、1(A)の要約、1(B)の語句整序、2(A)の自由英作文、2(B)の和文英訳、4(B)の和訳、5の説明と和訳です。ほぼ全部の大問に「書く」が入っています。マーク式も、公表されている解答番号は(1)から(34)まであります。

高橋単語を知っていても、まとめられなかったらアウトってことですか(笑)。
松田塾長そういうことです。落としやすいのは、要約の字数調整、英作文の語数とミス、正誤判定の文脈上の誤り、選択肢が長くなったリスニングの4つですね。ただ、どこで失点しているかは人によって全然違います。数学や理科に時間を取られて演習量が足りない人、構文が取れていない人、日本語の圧縮が苦手な人、時間配分で崩れる人。原因が違えば、優先する練習も変わります。リオンでは、実際の答案を見ながら、どの大問でなぜ点を落としているのかを一緒に整理しています。

高橋自分の失点の原因って、独学だと見えにくいですよね……。まず各大問の中身を知っておきたいです。
松田塾長いい流れです。じゃあ次は、大問ごとの解き方を、思考過程つきで見ていきましょう。

大問別詳細解説
松田塾長大問ごとに「何を問われるか」「どう考えるか」を順番に説明します。答えを暗記するのではなく、考え方を持ち帰ってください。なお、途中に出てくる英文や答案例は、この記事のために作った練習用のオリジナルで、入試問題の転載ではありません。

1(A) 要約
高橋最初の要約が難しいって聞きます。70〜80字って、ものすごく短いですよね?
松田塾長2026年度は356語の英文を70〜80字にまとめる問題で、答案の書き出しが与えられていました。素材はフロイトの著作の影響力を論じた文章で、特に第2段落は論の流れがつかみにくかったと分析されています。理系の人は、実験レポートの「結論だけを1行で書く」感覚を思い出してください。段落ごとに主張を10字程度の一言にして、段落同士の関係(対比・逆接・因果)を確認してから、具体例を削って主張だけをつなぎます。

高橋具体例は全部削っていいんですか?
松田塾長「たとえば」で始まる部分は原則として削ります。逆に “However” や “Yet” の後ろには筆者の本音があることが多いので、残す候補です。練習用の短い例で見てみましょう。”Many people believe that a good memory means remembering everything. Yet researchers note that forgetting is also useful, because it clears away details that no longer matter and makes room for new information. A mind that kept every detail would struggle to find what is important.” これを40字以内にするなら、「忘却は不要な細部を消して新しい情報の余地を作るため、記憶にとって有益である。」の38字になります。最初の一文の「よくある思い込み」は削って、Yet の後ろの主張を残しているのが分かりますか?

高橋なるほど、Yet の後ろが本音なんですね! 字数は書いたあとに数え直したほうがいいですか?
松田塾長超えると失点になりやすいので、書いたあとに数えて調整してくださいね。

1(B) 読解総合(文補充と語句整序)
高橋1(B)は空所を埋める問題ですよね? 選択肢の数が気になります。
松田塾長2026年度は871語の英文で、文補充(ア)が5箇所、ダミーの選択肢が2つでした。つまり選択肢のうち2つはどこにも入りません。語句整序(イ)は、並べ替える要素が7つでした。空所の中には確定させにくい箇所があったと言われているので、確実に決まる空所から埋めて、残りを消去で絞る順番が大切です。

高橋手がかりは何を見ればいいんですか?
松田塾長指示語(this, such)、代名詞、接続の言葉(but, so)、そして直前直後の文が何の話をしているか、の3点です。たとえば空所の直後が “This” で始まるなら、空所の文は “This” が指せる内容を含んでいるはずですよね。数学の証明で「使える条件から順に確定させる」のと同じ発想で、手がかりの強い空所から決めると、残りが自然に狭まります。

2(A) 自由英作文
高橋2026年度の自由英作文は “What does it mean to be strong?” でしたよね。60〜80語って、どう組み立てればいいんですか?
松田塾長テーマが英語で与えられたのは、日本語で示されてきた年度との違いでした。型は3ステップです。①自分の立場を1文、②理由か具体例を2〜3文、③言い直して結論を1文。練習用に、別のテーマ “Why is it important to admit a mistake in science?” で書いてみます。”Admitting a mistake is important in science because a wrong result can mislead many people. Last year, my group in the science club reported a strange result, but a friend found that we had used the wrong unit. At first I felt ashamed. However, we corrected the data and learned to check each step twice. Science moves forward not by hiding errors but by sharing them honestly.”(67語)

高橋おおっ、ちゃんと60〜80語に収まってる! でも、こんなに書ける自信がないです……。
松田塾長ポイントは「凝った表現より、使い慣れた構文で正確に書く」ことです。この答案も、because、but、not A but B と高校で習う構文だけです。1文を10〜15語くらいで区切っていくと、語数も数えやすく、調整も楽ですよ。自分の体験を1つ入れると、具体性も出ます。

2(B) 和文英訳
高橋和文英訳は、日本語が長いと大変そうです。2026年度は100字ぐらいだったんですよね?
松田塾長2026年度は、1つの段落から成る英文の中で、日本語で示された100字ほどの部分を英語にする形式でした。さらに空所補充が2箇所、選択肢は6つ。英訳自体は工夫が要る箇所もあるものの、極端に難しくはないと分析されています。ここで日本語をそのまま英語にしようとしないのが鉄則です。練習用に「実験がうまくいかなかったときに、失敗の原因を丁寧に調べることが、次の発見につながることもある」を訳してみましょう。

高橋「〜ことが〜につながることもある」って、どう訳すか迷います。
松田塾長まず日本語を、主語と動詞がはっきりした形に言い換えます。「失敗の原因を丁寧に調べると、次の発見が生まれることもある」とすれば、”When an experiment fails, examining the cause carefully can sometimes lead to a new discovery.” と、無理なくつながります。「〜こともある」は can sometimes、「〜につながる」は lead to で処理しています。

3 リスニング
高橋リスニングは30分程度って、ものすごく長いですよね。どんな内容なんですか?
松田塾長2026年度は(A)がドイツの教育制度についての講義、(B)がイギリスの刑務所の設計についてのポッドキャスト、(C)が樹皮や岩石に着生する地衣類についての講義で、それぞれ5問、計15問でした。英文の長さは528語、513語、538語。選択肢の分量が2025年度より増えたので、聞きながら選択肢を読む負荷が上がっています。

高橋地衣類なんて、聞いたことのない話題ばかりで不安になりそうです(笑)。
松田塾長話題が専門的でも、問われるのは「講義の内容と一致する選択肢」や「講義の主旨」といった基本的な理解です。聞く前に選択肢のキーワードだけ拾っておき、聞きながら印をつける練習が効果的です。理系の人は理科の実験手順を英語で聞くような感覚で、話の流れを追うと入りやすいですよ。共通テストのリスニングは60点に換算されるので、共通テスト対策と二次対策は、音声に慣れるという点でつながっています。

4(A) 正誤判定
高橋正誤判定は、2026年度に長くなったんですよね?
松田塾長英文は659語になり、5問(22)〜(26)を解きます。2019年度から正誤判定の出題が続いていて、文法・語法の誤りと、文脈上の誤りが混ざっています。2026年度は(23)と(26)で文脈上の誤りに気づく必要があったと言われています。練習用に短い例を作りました。”Because the sample was so small, the researchers were (a) confident that the result would hold for everyone. They therefore (b) repeated the experiment with a larger group, and (c) found that the effect had almost disappeared. The team concluded that small studies (d) should be treated with care, and that a surprising result (e) is not the same as a true one.” さて、どれが誤りだと思いますか?

高橋うーん……(a)の confident が怪しいです。「サンプルが小さかった」のに「自信がある」だと、そのあとの「実験をやり直した」とつながらないですよね。
松田塾長正解です! 文法的には何も間違っていないのに、文脈と合っていないのが(a)。ここは cautious(慎重)のような語が入る流れです。正誤判定では、文法チェックの前に「この文は前後と論理がつながるか」を確認する癖をつけてください。

高橋文法上の誤りのほうは、どんなものが出るんですか?
松田塾長標準的な文法・語法の項目です。たとえば “The number of students who takes the course has increased.” の takes のような、主語と動詞の一致の誤りです。難問ではないんですが、英文が長いので、誤りを見つける前に時間が消えていきます。基本の文法項目を短時間で判断できるように、日頃から音読しながらリズムで覚えておくと強いですよ。

4(B) 下線部和訳
高橋和訳は下線部が3つで、335語の英文でしたよね?
松田塾長そうです。出題の意図としては、語句の意味と使い方、文構造、文法事項の基本的な知識を見ています。長い文章の一部が下線になる場合は、前後の文脈を踏まえて訳す力も試されます。2026年度は(イ)で、unweaving(ほどくこと)の内容を補って訳すよう求められ、どうまとめるかで苦労した人が多かったようです。

高橋直訳だとダメなんですか?
松田塾長直訳は間違いではないんですが、文脈の情報を補わないと意味が通らない箇所があります。下線部だけを見て訳さず、前の2〜3文を読んで「何のことを言っているのか」を確認してから訳出しましょう。

5 長文読解
高橋最後の大問5は、2026年度は小説だったそうですね。
松田塾長1,003語の短編小説で、妻を亡くした雇用主の家で家政婦が見つけたしみを描く話でした。エッセーが続いていた東大の出題としては素材の変化で、マーク式の設問では描写の仕方を問う問題が出ました。記述式は説明が2問、和訳が1問です。小説は登場人物の気持ちが直接書かれず、行動や物の描写から心情をつかむ必要があります。

高橋理系だと、小説の気持ちを読むのは苦手かもしれません……。どうやって練習すればいいですか?
松田塾長「登場人物は何をしているか」「その行動から、どんな気持ちが読み取れるか」を1文ずつ日本語にする練習が効果的です。出題の意図でも「細部の表現に込められた書き手や登場人物の心情や価値観、ものの見方などを的確に理解する」ことが重要とされています。じゃあ次は、これらの大問で何割取ればいいのか、合格ラインから逆算していきましょう。

配点・ボーダーシミュレーター

松田塾長まず、過去4年間の合格最低点です。2023〜2025年度は東京大学の募集要項、2026年度は合格発表後の報道によるデータで、どれも550点満点です。

| 年度 |
理科一類 |
理科二類 |
理科三類 |
| 2023年度 |
314.98点 |
312.98点 |
357.67点 |
| 2024年度 |
326.24点 |
314.14点 |
380.48点 |
| 2025年度 |
321.00点 |
313.15点 |
368.67点 |
| 2026年度 |
303.39点 |
305.00点 |
346.09点 |
高橋2026年度は、全部の科類で下がっているんですね! しかも理科二類のほうが理科一類より高い……。
松田塾長理科二類が理科一類を1.61点上回りました。2025年度は逆で、理科一類が7.85点上だったので、科類の順番も毎年入れ替わります。合格最低点は毎年動くので、「この年度はこの点数」という決め打ちは危険です。550点満点で見ると、2026年度の最低点は理科一類で約55.2%、理科二類で約55.5%、理科三類で約62.9%。なお2026年度の合格者の平均点は、理科一類が332.11点、理科二類が326.50点、理科三類が377.79点でした。

高橋約55%かあ。じゃあ、二次の英語で何点取ればいいのか、逆算できますか?
松田塾長できますよ。理科一類の2026年度最低点(303.39点)を例に、次の手順で計算してみましょう。

steps
- 共通テストの得点率を仮に85%とする — 1000点満点の85%は850点。これを110点満点に換算すると93.5点
- 合格最低点303.39点から共通テスト分を引く — 303.39点 − 93.5点 = 209.89点。二次440点の約47.7%が必要
- 二次のうち英語120点を6割(72点)取れた場合 — 国語・数学・理科の合計320点で137.89点(約43.1%)が必要
- 英語を7割(84点)取れた場合は125.89点(約39.3%)、5割(60点)にとどまった場合は149.89点(約46.8%)が必要
高橋英語が5割だと、ほかの3科目で46.8%必要で、7割だと39.3%でいいんですね! 英語の取りこぼしが、数学や理科の負担に直結するんだ……。
松田塾長そこが大事なポイントです。英語の得点が1割動くと、ほかの3科目で必要な得点率は約3.75%動く計算です。理科二類と理科三類も同じ仮定(共通テスト85%)で計算した結果を、表にしますね。

| 科類 |
2026年度の最低点 |
二次で必要な点(二次440点) |
二次の得点率 |
英語6割のとき、他3科目(320点)で必要な得点率 |
| 理科一類 |
303.39点 |
209.89点 |
約47.7% |
約43.1% |
| 理科二類 |
305.00点 |
211.50点 |
約48.1% |
約43.6% |
| 理科三類 |
346.09点 |
252.59点 |
約57.4% |
約56.4% |
高橋理科三類は、ほかの3科目で56%も必要なんですね……。
松田塾長ただし、最低点ぎりぎりを狙う入試ではないので、平均も見ておきましょう。2026年度の理科一類の合格者平均332.11点を、共通テスト85%の仮定で計算すると、二次は約238.6点(約54.2%)が平均的な合格者の水準です。

このシミュレーションは単純化した目安です
科目ごとの合格者平均点や、大問ごとの得点分布は公表されていません。上の計算は「共通テスト85%」という仮定を置き、残りを二次の得点率として割り戻しただけの目安です。また、理科三類は面接試験の結果を含めて総合的に判定されるため、学力試験の得点にかかわらず不合格となることがあります。
高橋目安としては分かりやすいです。でも、今の自分がこの計算のどこにいるのか、まだピンと来ません。
松田塾長それが自然な反応です。必要な得点は計算で出せても、今の自分が二次の英語で何点取れるのか、どの大問で失点するのかは、ご自身の答案を見ないと分かりません。要約で伸びないのか、英作文の減点なのか、リスニングで崩れているのか。原因によって、残りの期間にやる対策の優先順位は大きく変わります。しかも理系は、数学・理科の勉強時間を確保しながら英語を積み上げる必要があります。リオンでは、今の英語力と東大理科各類の合格最低点との差を、大問ごとに一緒に確認しています。

高橋差が分かれば、やることも見えてきそうですね。じゃあ、具体的な対策を教えてください!
対策・攻略法
松田塾長対策は「何を・どの順で・いつまでに」で組み立てます。2027年2月25日(木)からの本番を目標に、時期を3つに分けましょう。

東大理科の英語 対策ロードマップ
2026年10月〜12月は、単語・構文・文法の穴を埋めながら、大問ごとの「型」を作る時期です。要約は週に1題、自由英作文は週に2題を目安に書き、第三者に添削してもらいます。数学・理科の勉強時間を削らないよう、英語は毎日30分〜1時間を固定枠にする方法もあります。
2027年1月は、共通テストのリーディングとリスニングの仕上げを優先します。東大形式の練習は週に1回、通し演習を維持して、記述の感覚を落とさないようにします。
共通テスト後から2月25日までは、過去問を2026年度と同じ14時から16時の120分で通して解きます。リスニングの30分程度を含めた時間配分を体に入れ、2022〜2026年度の5年分を目安に2周します。
高橋通しで解く練習は、本番と同じ時間帯でやるといいんですね!
松田塾長午前に理科の過去問、午後に英語という日を作っておくと、2日目の疲れ方も体験できます。もう一つ、点数の取り方を決めておきましょう。

記述式5カ所を「点を落としにくい形」にする
記述式の大問は、1(A)要約、2(A)自由英作文、2(B)和文英訳、4(B)下線部和訳、5の説明と和訳の5カ所です。完璧を目指すより、大きな減点を避ける方が合格ラインに近づきます。要約は字数超過をしない、英作文は語数と文法ミスを減らす、和訳は文脈の情報を補う、という「減点されにくい書き方」を過去問で繰り返し練習しましょう。
高橋時間配分は、どう決めればいいですか?
松田塾長一つの目安として、120分を次のように使う方法があります。1(A)要約に15分、1(B)に10分、2(A)自由英作文に15分、2(B)に10分、3リスニングに30分程度、4(A)に10分、4(B)に10分、5に20分です。あくまで練習用の目安なので、自分の苦手な大問に合わせて数分単位で調整してください。じゃあ次は、受験生が陥りやすい失敗を見ておきましょう。

よくある失敗・注意点
松田塾長理系の受験生によくある失敗を3つ挙げます。1つ目は、数学・理科の演習を優先しすぎて、英語の記述練習が直前期までほとんどできていないことです。

英語は「あとで一気に」では間に合いにくい
要約、自由英作文、正誤判定、30分程度のリスニング、小説の記述説明は、他の大学ではあまり見ない形式です。数学・理科に時間を割いて、東大形式に触れないまま冬を迎えると、120分の中で時間が足りなくなることがあります。英語は毎日少しずつ、記述の練習を続ける方が安全です。
高橋数学・理科に集中したい気持ちは分かるので、耳が痛いです(笑)。2つ目は何ですか?
松田塾長共通テスト対策で二次の記述が鈍ることです。共通テスト直前の1月は、マーク式の演習が中心になり、書く練習がおろそかになりがちです。要約と英作文を週に1回でも続けておかないと、共通テスト後の立て直しに時間がかかります。

高橋3つ目は?
松田塾長大問ごとの時間配分を決めないまま本番に入ることです。正誤判定の英文が長くなったように、1つの大問に想定以上の時間を取られる年度もあります。「この大問は何分で切り上げる」というルールを決めて練習しておくと、本番で焦りが減ります。

不安になりすぎる必要はありません
ここで挙げた失敗は、いずれも早めに気づいて練習を組み直せば対応できるものです。大事なのは「自分はどれに当てはまりそうか」を確認することです。
高橋じゃあ、次は自分の場合を確認したいです!
自己診断(セルフチェック)
松田塾長東大理科の英語対策で、次のチェックリストに当てはまるものがいくつあるか確認してみてください。

東大理科の英語 セルフチェック
– 数学・理科の演習に時間を使って、英語は週に数時間の単語と長文にとどまっている
– 英文の意味は分かるのに、日本語で80字以内にまとめようとすると長くなってしまう
– 自由英作文を書くと、60〜80語に収まらない、または途中で文法が不安になる
– 正誤判定で、文法の誤りは分かるのに文脈上の誤りに気づけない
– リスニングは共通テスト形式ばかりで、講義形式の長い音声を聞いたことがない
– 過去問を120分で通して解くと、最後の大問に十分な時間が残らない
– 記述の答案を第三者に添削してもらったことがない
高橋うわあ、数学・理科優先で英語は週に数時間、と、通しで解いたことがない、が思い当たります(笑)。
松田塾長それは典型的です。ここで大事なのは、当てはまる項目が同じでも、原因は人によって違うということです。同じ「語数に収まらない」でも、語彙が少なくて言い換えができない人と、日本語の段階で内容を整理できていない人では、やるべき練習が違いますよね。次のセクションで基本情報を一覧にしておきます。

基本情報まとめ
松田塾長ここまでの数字を、一覧にしておきます。

| 項目 |
内容 |
| 大学名・学部 |
東京大学 教養学部(理科一類・理科二類・理科三類) |
| 入試方式 |
一般選抜(前期日程) |
| 総合点(満点) |
550点(共通テスト110点+第2次学力試験440点) |
| 第2次学力試験の科目配点 |
国語80点・数学120点・理科120点・外国語120点 |
| 英語の配点 |
二次120点(二次の約27.3%)、共通テスト換算22点、合計142点(総合点の約25.8%) |
| 英語の試験時間 |
120分(聞き取り試験は30分程度) |
| 英語の大問数 |
5題(1〜5、記述式とマーク式の併用) |
| 2026年度の合格最低点 |
理科一類303.39点・理科二類305.00点・理科三類346.09点 |
| 分析対象の年度 |
2026年度入試(令和8年度募集要項・2023〜2026年度の合格最低点) |
| 2027年度入試の日程 |
2027年2月25日(木)・26日(金)、理科三類のみ27日(土) |
| 公式サイト |
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_02_01.html |
高橋こうして見ると、120点という数字のうしろに、大問5題と3,000語超の英文があるんですね。
松田塾長そのとおりです! じゃあ最後に、ほかの大学と比べてみましょう。

類似する大学・学部との比較
松田塾長東大理科のように、理系で英語・数学・理科を同じ重みで見る大学は、志望校を選ぶときに比較が欠かせません。たとえば
早稲田大学 理工学部は、英語120点・数学120点・理科120点の合計360点満点で、英語の比率は約33.3%です。東大の二次は英語120点が440点の約27.3%で比率は低めですが、東大は国語80点が加わる分、4教科を見る入試です。

高橋試験時間も違うんですか?
松田塾長違います。早稲田理工の英語は90分で、東大は120分です。しかも東大は要約・自由英作文・正誤判定・30分程度のリスニングと、問われる形式が多いのが特徴ですね。同じ東大でも、文科の受験生の英語の扱いが気になる人は、
東京大学 教養学部(文系)の記事も見てみてください。二次の英語は120点で、二次440点に占める比率(約27.3%)も文科と理科で同じです。違うのは、国語・数学・理科・地理歴史といったほかの科目の重みです。

高橋医学部の英語も、比べてみたいです。
松田塾長理科三類の先には医学部医学科がありますよね。医学部の英語の傾向を知りたいなら、
慶應義塾大学 医学部の記事で配点や出題の特徴を確認できます。併願のときは、東大対策と別枠で、私立の英語対策の時間も確保しておきましょう。じゃあ最後に、よくある質問に答えていきますね。

よくある質問
高橋最後に、みんなが気になりそうな質問をまとめて聞いてもいいですか?
松田塾長もちろんです。順番に答えていきますね。

高橋理科一類・二類・三類で、英語の配点は違いますか?
松田塾長違いません。第2次学力試験の外国語は、理科一類・二類・三類とも120点で、二次440点の約27.3%です。違いは合格最低点で、2026年度は理科一類が303.39点、理科二類が305.00点、理科三類が346.09点でした。

高橋東大の二次試験の英語にリスニングはありますか?
松田塾長あります。英語試験の一部分に、30分程度の聞き取り試験が入ります。2026年度は(A)(B)(C)の3つの音声で、各5問、計15問でした。

高橋文系と理系で、英語の問題は違いますか?
松田塾長募集要項では外国語の試験時間・配点とも文科各類・理科各類は同じで、出題の意図や河合塾の分析も文理を分けずに1本で公表されています。この記事の大問の解説は、文系と共通の内容です。

高橋英語で何割取れれば合格圏に入りますか?
松田塾長英語だけで決まる数字はありません。目安として、共通テストが85%なら、理科一類の2026年度の最低点に届くには二次で約47.7%が必要です。英語を6割(72点)取れれば、ほかの3科目は約43.1%でよい計算になります。

高橋理科三類は、学力試験の点数だけで合否が決まりますか?
松田塾長いいえ。理科三類は学力試験に加えて調査書と面接試験の結果を含めて総合的に判定され、学力試験の得点にかかわらず不合格となることがあります。

高橋先生、ここまでで東大理科の英語がどういう試験かは、かなり見えてきました。
松田塾長東大理科の英語は、二次の120点、大問5題、約3,200語の英文、30分程度のリスニングという構成でした。合格最低点は550点満点の55〜63%で、英語は数学・理科と並ぶ120点です。ここまでが、東大理科の受験生に共通する話です。ただ、実際にどこから手をつけるべきかは、人によってまったく違います。

高橋同じ「英語が間に合っていない」でも、違うんですか?
松田塾長違います。たとえば「要約が80字に収まらない」という症状でも、英文の構造が取れていない人、日本語の圧縮が苦手な人、書き出しの指定から論理をつなげられない人と、原因はいろいろです。「英語に時間が回らない」も、そもそも演習量が足りない人と、量はあるのに東大の形式に合っていない人では、やることが変わります。

高橋数学・理科の勉強時間も必要だから、間違った練習を続けてしまうと、ますますもったいないですよね……。
松田塾長そこが一番もったいないところです。勉強していないことより、優先順位を間違えたまま数カ月が過ぎてしまうことのほうが、大きな損失になりやすいんです。逆に、現状、合格最低点との差、優先して直すべき弱点、やるべき勉強が見えれば、数学・理科と並行しながらでも迷わず積み上げられます。英語進学塾リオンでは、今の英語力と東大理科という志望校を確認しながら、何を・どの順番で改善すべきかを一緒に整理しています。現在どの大問でつまずいているのか、合格最低点との差はどのくらいか、今の勉強法を続けてよいのかを持ち帰れるので、気になる方は一度確認してみるといいですよ。

参考リンク
Q. 理科一類・二類・三類で、英語の配点は違いますか?
違いません。第2次学力試験の外国語は、理科一類・二類・三類とも120点で、二次440点の約27.3%です。違いは合格最低点で、2026年度は理科一類が303.39点、理科二類が305.00点、理科三類が346.09点でした。
Q. 東大の二次試験の英語にリスニングはありますか?
あります。英語試験の一部分に、30分程度の聞き取り試験が入ります。2026年度は(A)(B)(C)の3つの音声で、各5問、計15問でした。
Q. 文系と理系で、英語の問題は違いますか?
募集要項では外国語の試験時間・配点とも文科各類・理科各類は同じで、出題の意図や河合塾の分析も文理を分けずに1本で公表されています。この記事の大問の解説は、文系と共通の内容です。
Q. 英語で何割取れれば合格圏に入りますか?
英語だけで決まる数字はありません。目安として、共通テストが85%なら、理科一類の2026年度の最低点に届くには二次で約47.7%が必要です。英語を6割(72点)取れれば、ほかの3科目は約43.1%でよい計算になります。
Q. 理科三類は、学力試験の点数だけで合否が決まりますか?
いいえ。理科三類は学力試験に加えて調査書と面接試験の結果を含めて総合的に判定され、学力試験の得点にかかわらず不合格となることがあります。